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アーティストの顔も持つプロデューサーが手がける、今アート界に必要なサービスとは?(メンバーインタビューvol.2)

メンバーインタビュー第2弾はTCMのプロデューサーの林重義。自身もアーティストとして活動する彼の頭の中をのぞいてみました。

アート×ビジネスを軸にした事業、ついに始動!

The Chain Museum(以下TCM)は「MUSEUM」「PLATFORM」「CONSULTING」の3つの軸で運営しており、僕はその中でもプロデューサーとして「PLATFORM」と「CONSULTING」の事業に携わっています。この「PLATFORM」はアーティストと鑑賞者をつなぐプラットフォームの中で鑑賞者がそれぞれの好みや価値観を表明・シェアしたり、アーティストを支援できるSNSのようなサービスです。サービスの特性上、既存のギャラリーや美術館、芸術祭にこのプロジェクトに参画してもらう必要があるので、様々な方々にお会いして現状の課題をヒアリングし、サービスを社会にどうインストールしていくかを一緒に考えながら企画をしています。

また、「CONSULTING」の事業では様々な企業と一緒にアート作品を制作しています。規模が大きくなるとPARTYも一緒にプロジェクトに関わることもありますね。TCMはPARTY、スマイルズ、独立して個人でお仕事されている方など様々なメンバーが集まる混合チームなので、プロジェクトに応じた柔軟な対応をしています。

元々PASS THE BATONやgiraffeなどスマイルズさんのサービスの大ファンだったので、お声がけ頂いた時はとても嬉しかったですね。また、プライベートワークとしてnorというクリエイティブレーレーベルでアート作品を作っていたので、アートそのものへの理解や、作品を作る人の気持ちにも共感出来ると思っています。

テーマは「自律と自由」。プロジェクトとしてアート作品を制作すること
アーティストの中には専業で制作に取り組んでいる方も沢山いらっしゃいますが、僕の場合はPARTYの仕事として課題解決型の未来の体験を社会にインストールするためのプロジェクトに取り組みつつ、並行してプライベートで作品制作を行うことで自分の中のバランスを取っているようなところがあります。

norの活動では「クリエーティブレーベル」として毎回のテーマに応じて色々な分野の方々とコラボレーションしながら作品と作っていて、例えば宇宙をテーマにした作品を検討している時は、実際に宇宙の研究をしている方に会いに行き、技術的な部分の話をヒアリングして制作に生かしています。一般的にアートというと個人の思いの丈を表現するような作品を一人黙々と作っているイメージがありますが、他の企業の技術とコラボレーションしながらプロジェクト化するスタイルは、通常のコマーシャルワークに近い部分もありますね。

nor として発表したインスタレーション作品「dyebirth」 水やインク・化学物質などのケミカルリアクションを電子制御することで作られている。

そのため、スマイルズさんが会社として発表しているアート作品の作り方にはシンパシーを感じています。例えば、越後妻有トリエンナーレで展示していた「新潟産ハートを射抜くお米のスープ300円」という作品。ロボット技術を持つDENSOさんと組み、普段は人前にでる事のないロボットアームが観客にスープをおもてなしをする作品を作りあげていました。

そのように作品自体に社会へ問いかけるような要素を含んでいることで、自分達だけで完結せずに様々な人を巻き込みながら根付かせていくスタンスは、norの目指すアートのあり方に近いですね。自分にとって作品を作って発表をする事は、「自分はこう思うんだけど、どう思う?」と問いかけをしているようなところがあり、展示の際は現場で鑑賞者の反応を見たり、作品に対するコメントを貰ったりと、積極的にコミュニケーションをとる事を楽しんでいます。作品を通してでしか生まれない気づきやコミュニケーションが、そこにはあるんです。

越後妻有トリエンナーレで正式にアーティストとしてスマイルズが出展したロボットアームの作品。日本の食、おもてなし、技術の3つをキーワードに、スープをおもてなしするロボットが誕生した。
Photo: Gentaro Ishizuka 

「アートは自律しなければいけない。」と遠山さんといつも話しているのですが、スマイルズが2016年の瀬戸内芸術祭のために制作した「檸檬ホテル」はまさにそれを体現した作品です。築90年の古民家を再構築した施設はそれ自体が体験型のアート作品でありながら、ホテルとして1日1組の方が実際に宿泊する事も可能です。観客は「ほほ檸檬しなさい」のような指示に従いながら過ごす事で、宿泊中いつもとはちょっと違った非日常な体験をする事ができます。

2016年の瀬戸内芸術祭のために作られた、泊まれるアート作品「檸檬ホテル(レモンホテル)」 。宿泊客はユニークなルールを課せられながら、瀬戸内での時間を楽しむ事ができる。

また、日本の芸術祭にはどうしても一時的な側面があり、作品の中にはイベント終了後にメンテナンスもされずに休眠してしまうものも多いです。そんな中事業計画を立てて、どこにも頼らずに収益化をし、イベント終了後もプロジェクトを継続させている作品は他に類を見ないです。TCMとして制作する作品でも、何かに財源を依存せずに自律して継続していけるようなアート作品を生み出し、社会に残していくことができればと考えています。

目指すのは「アート作品と鑑賞者の対話」。アーティストを救う新たなインフラ


「自律と自由」はTCMのアート作品のキーワードではありますが、中には作品の特性上それ自身が利益を生む事がどうしても難しいジャンルもあります。様々なアーティストにお会いしてお話を伺う中で見えてきたのは、著名なアーティストでも制作活動しながら生活していくのに十分なお金を得るのは難しく、新しい作品を継続的に生み出すのに苦労しているという現実で。絵画や彫刻の作品の場合はまだ運搬もしやすく、コレクターへ流動して金銭的な価値をあげていく事がしやすいかもしれませんが、インスタレーションやパフォーマンスなどの作品はそれ自体を販売をすることがなかなか難しい状況があるのです。「そんな作品を作る方々を応援したい!」という想いで作ったのが、「PLATFORM」の事業で手がけているアーティストを直接・気軽にサポートできるアプリ「ArtSticker」です。

アーティストを直接・気軽にサポートできるアプリ「ArtSticker」(アートスティッカー)のiOS オープンベータ版

このサービスでは観賞者がその作品をいいなと感じたら、FacebookのLikeを押すように金銭の支援が出来るサービスです。こういったサービスが普及してインスタレーション作品にお金が流れていけば、作家側としても「お金にならないインスタレーション作品はやめて絵画作品を作ろう」などと表現方法を限定せず、自由に発想をしていくことに繋がりますよね。たとえ一つ一つの金額が小さくても、観賞者個人の感動を支援や評価という形に還元していくことで、少しでもアーティストに対するお金の流れを回していければと思っています。

PARTYとして発表した「GANGU」。AIのGANで生成された絵を人間が立体造形した人間とAIの共作。ArtStickerで支援することもできる。

現状の日本のアートの世界では、コレクターや業界での権威的な存在によって作品の価値が決まっていく事が多いですが、このサービスの中では今までと違った新しい評価軸や文化が生まれるような気がしています。例え日本のアート業界では全く無名な作品でも、ArtStickerの中では人気を集めてスターになるかもしれない。サービスの中でアートに対してスポーツのような熱狂や、作品に対する意見が生まれることで、現状のアート作品の評価の仕方や見えかたも変わってくる可能性もありますよね。このサービスによって社会のアートへの眼差しが少しでも良い方向へ変わっていくと嬉しいです。

林 重義 (はやし しげよし)
The Chain Museum:プロデューサー/ PARTY:プロデューサー/テクニカルディレクター。IoTプロダクトの製品開発・プロトタイピング・コンセプトモデル・空間設計・テレビ番組連動・新規サービス開発・UI・UXなど、様々なフィールドに渡る企画・制作に関わる。 テクノロジーを利用した「新しい体験」を作ることを得意とし、 GOOD DESIGN賞他様々な受賞歴がある。Media Ambition Tokyo 2019ではPARTYのアート作品「GANGU」を展示。プライベートワークでクリエイティブ・レーベル「nor」(ノア)のプロデューサーをつとめ、Media Ambition Tokyo 2018、六本木アートナイト2017、ICCでのインスタレーション展示を行う。

文:沼尾 なつ紀 写真:奥山 紘子
(このインタビューは2019年2月23日にWantedlyに掲載されたものです)

■ArtStickerって?
ArtStickerはアーティストに直接支援をおくりながら、自身のアート作品への興味・関心を気軽に残すことができるアプリです。
アプリ内には様々なジャンルのアートワークを掲載し、作品をより深く知るための情報も詳しく紹介。
それらの作品に、金額に応じた色の「スティッカー」を貼ることで、アーティストを​サポートできる仕組みです。
サポートのあかしとして、作品情報の下に自分の名前を刻むことができ、アーティストからのお知らせを受け取れるようになります。また、作品についてのレビューも書けるようになります。
アートコレクターのようにコレクションを増やし、よりスキになる。そんな楽しみ方も可能です。
◆アプリは下記リンクよりダウンロードいただけます。
https://artsticker.app/r/dl/

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TCMは「世の中の体温をあげる」という想いをかかげ、「Soup Stock Tokyo」等を手がけてきた遠山が構想する「新たなアート体験」に、PARTYが得意とする「デジタルでの体験設計」を融合させ、アートと個人の関係をテクノロジーで変革させ、新たな価値の提示を目指しています。

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The Chain Museum

The Chain Museumは、遠山正道×クリエイター集団PARTYが新たに発信する  「アートの次のあり方をつくる」プロジェクトです。 アーティスト支援アプリの「ArtSticker」を運営しています。 https://artsticker.app/

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