
石上純也建築設計事務所 studio visitレポート
スタジオビジットというアーティストのスタジオを訪ねる概念が海外で流行っているので、The Chain Museumでも始めてみようと思います。
第一回目は、石上純也さんの建築設計事務所に伺いました。
石上純也さんは、世界的に活躍する若手建築家のお一人です。ボタニカルガーデンアートビオトープ「水庭」を手がけ話題をさらい、2018年には、パリのカルティエ現代美術財団で初の大規模個展を開催され、その巡回展が上海当代芸術博物館 (Power Station of Art)で開催中です。
六本木にある石上純也さんの事務所にお邪魔したのは、夏のある日。スタジオは細い階段を降りたところにあり、眩しい外の光とは対象的に洞穴の中にいるような気持ちになります。石上さんは、黒いTシャツ姿で颯爽と現れました。
石上さんが建築家を志したのは大学に入るときだったそう。大学受験を前に建築学科を意識するようになり、学生の頃に妹島和世さんと西沢立衛さんが率いる建築設計事務所SANAAでアルバイトを始め、キャリアを積んだ後に独立し、石上純也建築設計事務所を始められたのだとか。
事務所には、黒板の大きさほどの大きな模型が沢山置かれています。よく見ると、スケールの違う、同じプロジェクトの模型も。石上さんに最近手がけていらっしゃるプロジェクトのお話を伺いました。
House and Restarurant (日本・山口)
ⒸYashiro photo office
山口県宇部市で進行中のレストランのプロジェクトです。このプロジェクトは、施主が古い雰囲気の建物の中で食事ができるような、例えばヨーロッパの古い街並みの中にある、何百年も昔からあるようなレストランとか、CAVE状のワインセラーのような、経年が雰囲気になるレストランをつくってほしいと依頼したそう。3D模型をデータ化し、それを元に土地を掘り、なんと大地を型にしてコンクリートを固めたのだとか。最後に、土の部分を掻き出して、洞窟のような空間を作っているそうです。完成が待たれます!
森の幼稚園 (中国・山東省)
Ⓒ junya.ishigami+associates
こちらは中国山東省の幼稚園の模型です。「僕が子供の頃は、空間の感覚が今とは違いました。その体験を思い出して、子どもの身体にあうような、スケールの小さな空間からなる幼稚園を設計をしています」と石上さん。小さな教室が、内と外が緩やかにつながる幼稚園。聞いているだけで楽しくなるプロジェクトです。
Serpentine Pavilion 2019 (英国・ロンドン)
Ⓒcourtesy of Serpentine Galleries, photograph by Iwan Baan
2000年より毎年、ロンドン・サーペンタイン・ギャラリーが世界的な建築家にデザインを依頼する「サーペンタイン・パビリオン」。これは同ギャラリーが夏限定で運営するカフェ兼休息所なのですが、2019年は石上純也さんが手がけました。大きな屋根が地面にかかっている印象的な模型を見せていただきました。「場所に由来する構法や素材を使用することに興味があり、今回はイギリスということで石を使いました」とは石上さんの弁。
ご紹介したサーペンタイン・パビリオンは、10月までロンドンで実際にご覧いただくことができますが、ArtStickerでも作品をお楽しみいただけますので、ぜひ、スティッカーやコメントを送って石上さんに感想を伝えてみてはいかがでしょうか。
Artist Profile
石上純也
1974年神奈川県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻修士課程修了。妹島和世建築設計事務所を経て2004年石上純也建築設計事務所設立。
主な作品に、神奈川工科大学KAIT工房、Vijversburgビジターセンター(オランダ)、ボタニカルガーデンアートビオトープ/水庭(栃木県)。2019年のサーペンタインギャラリーパビリオンを設計(ロンドン)。
2018年パリのカルティエ現代美術財団で「Freeing Architecture - 自由な建築」展を開催、現在、上海当代芸術博物館で巡回展を開催中(10月まで)。
日本建築学会賞、第12 回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展金獅子賞、毎日デザイン賞等、受賞多数。
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