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Artist Interview/ 言葉を超えて、共感を生み出すダンスユニット「Atachitachi」インタビュー

11/3-12/1まで開催された、「Sense Island -感覚の島- 暗闇の美術島」にてパフォーマンスを行なったAtachitachi。『身体』を通して共感することを軸にダンス作品を生み出し続ける二人が、今回のイベントのためだけにつくりおろした「texture of memory」は、観客の心を掴んで離さない幻想的な作品となりました。
そんなお二人に、Atachitachi結成の経緯から、ダンスへの思い、そしてこれからの展望についてお話を伺いました。


ーAtachitachi結成の経緯を教えていただけますか。

飯森:2015年ぐらいから、一緒に作品を作り始めて最初は個人名で発表したりしていたしたのですが、割とコンスタントに一緒に作品を生み出していくなかで、ユニット化した方が色々動きやすいね、となり「Atachitachi」を結成したのが2018年です。元々は二人で飲んだり、ご飯に行ってダンスや生活についてを話しているうちに、「こういうことやってみたいよね。」と話が膨らんできたことから始まりました。

たぶん同年代というのもあって、色々話していくうちに同じ悩みだったりとか、同じようにダンスについて考えたりしているのを共有していくうちに、お互いに楽しくできそうだな、と。


西山:例えばカンパニーの中だとあえて試さないことなんだけど、やってみたいと思った、だけど一人だけでは出来ないことなんかを投げられる相手なんです。
やるには結構、地道で地味なこととかって、たくさんあるんですよね。新しいことに挑戦するにあたって体をガッツリ、信頼して投げ出さないといけなかったりもしますし、そういうのを提案できる相手だったというのは大きかったかなと。
一緒に色々探りながら、形にしていけるその過程が面白そうだなっていうのがありました。


飯森:あとは、会っていない間に起こった出来事とか、感じた事なんかを喋っている時間が結構長くて、そういう時間もすごく大事だったりして。私がこう思ってた時のこれとちょっとリンクする、とか、その時のこれって、こうだよね、みたいな、何かそういうのを共有できる相手なんです。言葉でもそうだし、じゃあそれを体で表現してみようとか。


ーそれで、「Atachitachi」なんですね。

西山:それもあるんですけれど、実は、一番最初に作った作品が「Attachment」という作品で。そこからAtachitachiになったという経緯があるんです。

飯森:この「Attachment」という作品が、私たちの原点にあって。体と体で共感するとか、体でコミュニケーションするとか、言葉じゃないものでどうやったら分かりあえるか、見ている人にその共感を伝えられるだろうかとか、そういうことについて考えて作った作品で、自分たちの中ですごく大切なものになっています。

西山:基盤というか、そのあとも創作していく上で元になっている作品ですね。


ーどうして、お二人はダンスに取り組まれていらっしゃるのですか?

飯森:私は、特別に才能がある訳でもないと思っているので、まさかこんな風にダンスを続けられると思ってなかったんです。
でも、単純に本当に踊るのが好きで、気がついたら表現の世界にいて。踊るときに自分の体と向き合うのって、自分の人生や生活と向き合うことと同じだと思っているから、その時に「だから、自分はダンスをやっているんだ」ってすごくしっくり来た瞬間があったんですね。そういう経験があったから、今は、この自分の体を他の誰かのためにとか、誰かと一緒に使いたいみたいな気持ちが芽生えてきています。

ー飯森さんのそういう気持ちは、踊り続けていくうちに芽生えていった気持ちなのですね。

飯森:そうですね・・最初は本当にただ楽しかったとか、格好良かったっていうだけで続けていたのですけど、なぜこんなにダンスに惹かれるのかみたいなのは、自分の体とか、人の体の中にある宇宙じゃないけど・・不思議さだったり、何かしらの魅力に、多分取り憑かれているんじゃないかなって最近は思います。


西山:私はもう、始めたきっかけは体が弱くて、克服するためにクラシックバレエに通いだしたところから始まったので、踊ることが好きと言って始めた訳ではなかったんです。いざやってみたら体も硬くて、不器用でっていうので劣等感があったんですよ、小さい頃に。だけど、飯森が言うように、その劣等感を感じている瞬間ってまさに、自分と強く向き合わなければならない時間なんですね。だからその向き合ってきた時間を舞台で出した時に何かこう、浄化されるというか、すごく癒される瞬間があったんです。
自分なんだけれど、どこか自分じゃないものになれる瞬間とか、そういうのが見えた時にすごく楽しくなってきて。

目の前にあることを一歩ずつやって、興味をどんどん探っていたら、気がついたらCo. 山田うんに入っていて、飯森に出会っていて。
私にとってダンスは、自分が自分らしくいるために必要な癒し、というかすごく大事なものです。


ー猿島で発表された作品は、どのようにして考えていったんですか?


西山:猿島は紆余曲折経ていて、二転三転・・・五転くらいしてますね。最初は「暗闇の美術島」というコンセプトもあり、「アート感」を強く意識して考えすぎていました。けれど結局、何がやりたいかっていうことに戻ったときに、身体を通して見てる人と繋がるとか、やっぱりそういうことがやりたいという風になって。これは「Attachment」を作っていた時から、猿島の時にやりたかったことも変わりませんでした。

ですが、それをじゃあ、一体なぜ猿島でやるのか、みたいなことを考えた上でのパフォーマンスはすごくチャレンジングでしたね。
ダンスって、「みる」ものじゃないですか。だけど、猿島は暗闇の中でダンスをするということだったので、わざわざ暗闇でダンスをみせるってどういうことなのかと。だからと言って、明るくして見せたら暗い中で踊る意味もないし、でも、真っ暗な中で踊って、果たしてそれがダンスとして、どこまで伝わるだろうとか、みたいなことを私たちなりに考えて、いくつか仕掛けを作りました。


飯森:自分たちも、想定出来ないことがたくさんあったんですね。どのぐらいお客さんが来るか分からないし、天候によっても状況は変わってきますから。当日はわりと曇っていたから、雲が反射板みたいになって、結構見えたりしたんですよ。けれど、もし晴れていた場合はもうちょっと暗かったかもしれないし、それもどのぐらい見えて、どのぐらい見えないかも分からない状態で。

でもやっぱり、そういった特別な空間で来てくださったお客さんはその日、その時にしか集まることが出来ない方たちなんですよね。


西山:そう。だから私達ももちろん、いろいろ考えては行ったんですけど、用意しすぎるのはやめよう、ということを決めていて。あえてちょっと、フレキシブルな気持ちにして臨んで、偶然のなかで一緒に何かを作り出す感覚で、当日は過ごしていました。
結果的にステージだと境界線があるけど、そういうのも全て飛び越えて、その場にいた全員で盛り上がったりして。そういうのは自然の中で、猿島だからこそ開放的になってできたのかなと思います。

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©Sense Island 2019 撮影:丸尾隆一

西山:あとはやっぱり今回、2015年の二人で作品をつくり始めた頃からずっと蓄積されてきた考え方とか、それによる間合いだったり雰囲気だったりとかといったものが、ちゃんと出せたのが良かったなと思って。多分、2人でずっと作ってきた身体とか感覚が、ちゃんと作品として馴染んで行ったんじゃないかなと思いました。

明るかったら隣にいる彼女の動きがすぐに分かりますが、暗闇でお互いに察知することも、今回初めてのことだったので、それも含めて挑戦だったと思います。

飯森:これこそまさに、今回の猿島でやりたかった作品そのものだと思っていて、今回演じた作品が「texture of memory」なんですけど、日本語にすると「記憶の手触り」なんですよ。言葉にしなくても伝わるとか、あそこの場で身を投げ出して初めてわかることがあるというのは、すごく実感しましたね。


ー今回、猿島でパフォーマンスしませんかと声を掛けられた時、どう感じましたか?

飯森:嬉しかったです。新しい何かが出来るかもしれないという可能性とか、未知なことがたくさんあったので。

西山:今まで、もともと、私たちがすでにつくった作品があって、それを何かのイベントだったりで公演するとかはあったのですが、イベントに合わせて企画自体から自分たちで作り上げるというのは初めてだったんです。

飯森:
私達的にとっても新しい可能性が見えたと言うか、「あ、私たちのやってる事って、こういうところで意外とマッチするんだな」とか、こういうふうに発信していったらお客さんにもっと届いてくれるんだな、とか。そういった手応えを感じることが出来たのは大きかったですね。

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©Sense Island 2019 撮影:丸尾隆一


ー今後、他にも色々な場所でもチャレンジしてみたいですね!

飯森:やっぱり普段、劇場でのパフォーマンスが多いので、今回そうじゃない空間で踊るっていう時点でもう、わくわくして。自分たちから切り込んでいけるような距離感の場所だったりとか、自然の中だったりとか、もしかしたら凄い街中でもいいかもしれないし、日常なんだけど、日常じゃないみたいな、でも劇場でもないみたいな、空間でもっとやってみたら楽しそうだなと思います。

西山:もはやオフィスとかでやっても面白そうだよね(笑)みんなが働いてる横で、あれなんか、っぽくいるんだけど全然仕事しない。やたらと美しい所作で何かを配っているけど、なんなんだろう、あの人・・・?みたいなのとか。

例えばカフェでもレストランでも、ユーモアというものはきっとどこにでもあって、どこでも面白くできると思うんですよ。大切なことはどういう人に何を届けたいかということで、だから、普段劇場に足を運ぶことに敷居の高さを感じてしまう人にも、日常に潜ませることでダンスをみてもらって、何か体感してもらえたらいいなと。


ー今回のダンス作品の詳細も「ArtSticker」で見ることができるのですが、実際に「ArtSticker」を使ってみてどう思われましたか?

飯森:私たちのやっていることって、ビジュアルに収まりきれないというか、公演の間に入ってくる微妙な空気感だったり、かっこいい感じ、楽しい感じ、激しい感じ・・・とか、様々なことを含めたいろんな時間だったりするので、断片的な写真や動画だけでは伝わりきらないことってあるんですね。

西山:それこそ、踊る場所によってはにおいだったり、温度、動くことで起こる風なんかすら、も体感としてあります。そういったことを、もちろんプラットフォーム上で全て伝えることは難しいけれど、それを見たことによって、「あ、見たい!」と思ってもらえたらなと思っていて。

ASはアーティスト自身が作品情報について考えて、自分で書いているので、どうすれば伝わってくれるのかな、とよく考えていますね。考える時間も、改めて作品と向き合う時間になっているので楽しいです。

飯森:あとは私たちはダンサーだから、知り合いもダンサーが多いんです。だから私たちの言葉を、色んな人に少しでも伝えられる機会はありがたいです。「ArtSticker」があると、みてくださった方からコメントをいただけるのも嬉しいですし、みんな、こんなこと考えているんだな、と実感することで次の作品へのインスパイアになったりするので。
今後、「ArtSticker」も私たちも、どう変化していくかが楽しみですね。

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〜プロフィール〜
Atachitachi(アタチタチ)
飯森沙百合、西山友貴によるダンスユニット。
共に、東京を拠点とするダンスカンパニー〈Co.山田うん〉に所属。
2015年には処女作となる「Attachment」を発表。
その後も継続的に作品を発表すると共にミュージシャンと即興パフォーマンスなども行う。
身体を通して共感することを軸に自分たちのテンポで活動を展開する。


* * * NEWS * * *

お二人が出演する最新作2作品が来年、上演予定します。
みなさまぜひ、足を運んで感動を体感してみてください。

飯森沙百合出演作品/
『NIPPON・CHA!CHA!CHA!』
2020年 1月10日(金)~2020年 1月19日(日)

西山友貴出演作品/
『ねじまき鳥クロニクル』
2020年 2月11日(火・祝)~ 3月 1日(日)

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TCMは「世の中の体温をあげる」という想いをかかげ、「Soup Stock Tokyo」等を手がけてきた遠山が構想する「新たなアート体験」に、PARTYが得意とする「デジタルでの体験設計」を融合させ、アートと個人の関係をテクノロジーで変革させ、新たな価値の提示を目指しています。

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The Chain Museumは、遠山正道×クリエイター集団PARTYが新たに発信する  「アートの次のあり方をつくる」プロジェクトです。 アーティスト支援アプリの「ArtSticker」を運営しています。 https://artsticker.app/
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